
海外の展示会に出展する流れ。押さえておきたいポイントと注意点
※2025年4月4日更新
企業が自社の商品・サービスを宣伝する場となる展示会は、日本国内だけでなく海外においても広く開催されています。
海外の展示会へ出展を考えている企業担当者のなかには、「海外の展示会はどのような目的で出展するのか」「海外の展示会へ出展する際に気をつけることはあるか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、海外の展示会へ出展する目的や流れ、押さえておきたいポイント、注意点について解説します。
なお、展示会の出展でお困りの方はこちらの資料をご確認ください。
目次[非表示]
- 1.海外の展示会に出展する目的
- 1.1.現地の反応を確認する
- 1.2.海外企業とのコネクションを創出する
- 1.3.競合市場を調査する
- 2.海外の展示会に出展する流れ
- 2.1.➀出展品を選定する
- 2.2.②出展する展示会を選んで申し込む
- 2.3.③移動手段と宿泊先を手配する
- 2.4.④出展品の輸送手段を選定する
- 2.5.⑤ブースの施工会社を選定・依頼する
- 2.6.⑥現地向けの配布物を準備する
- 2.7.⑦会場での設営とリハーサルを行う
- 3.海外の展示会に出展する際のポイント
- 3.1.➀現地の通訳やアシスタントスタッフを確保する
- 3.2.②商談に持ち込むことを意識する
- 3.3.③帰国後のフォローアップを行う
- 3.4.④国内開催と異なる追加コストを踏まえて予算を組む
- 4.海外の展示会に出展する際の注意点
- 4.1.現地での知的財産権を保護する
- 4.2.セキュリティ体制を整備する
- 4.3.展示会に関する独自の文化・ルールを確認する
- 5.まとめ
海外の展示会に出展する目的
海外の展示会に出展すると、現地の情報を得られるほか、海外企業との新たなコネクションを創出することが期待できます。
現地の反応を確認する
海外の展示会に出展する目的に、自社の商品・サービスに対する現地の反応を直接確認することが挙げられます。
インターネット上では手に入らないリアルな反応を得られることで、海外進出に向けて商品・サービスを改良したり、マーケティング戦略に生かしたりできるようになります。
海外企業とのコネクションを創出する
現地の海外企業とのコネクションを創出することも目的の一つです。
海外の展示会では、海外企業の担当者がブースを訪れます。名刺交換やアンケートの収集を行うことによって、海外企業との新たなコネクションを創出して継続的な関係構築を図れます。
また、自社の商品・サービスの強みや特徴を訴求して参加者に興味を持ってもらえると、その場で商談につながる可能性も期待できます。
競合市場を調査する
海外の展示会に出展することは、海外市場における競合他社の商品・サービスを調査する目的があります。
日本のメディアや雑誌などにまだ取り上げられていない海外企業の商品・サービスについて情報収集と分析を行うことで、グローバル市場でシェアを獲得するための差別化戦略を検討できるようになります。
海外の展示会に出展する流れ
海外の展示会に出展する際は、国内とは異なる準備や手続きが必要になります。スムーズな出展に向けてタスクとスケジュールを整理しておくことが重要です。
➀出展品を選定する
海外の展示会でアピールする出展品を選定します。貴重な機会だからといって多種多様な商品を展示すると、参加者が「どのような展示がされているのか」を把握しにくくなり、訴求性が低下する可能性があります。
自社の出展目的を設定して、ターゲットとする海外の参加者にふさわしい出展品を絞り込むことが重要です。
なお、国によって輸入が禁止・規制されている物品もあるため、事前に対象品目を確認しておくことが欠かせません。
②出展する展示会を選んで申し込む
自社がビジネスを拡大したい国・マーケットに合わせて、出展する展示会を選んで申し込みます。展示会を選定する際は、以下の内容を考慮して出展目的や商材にマッチするイベントを絞り込むことがポイントです。
▼展示会を選定する際に考慮する内容
- 展示会の業界・業種
- 主催者が設定しているテーマ
- 展示会の開催日程・集客規模
- 想定される参加者の属性 など
展示会の開催情報は、海外の展示会運営会社や日本貿易復興機構(JETRO)のWebサイトで調べたり、各国の在日大使館に問い合わせたりして探すことが可能です。
出典:日本貿易復興機構(JETRO)『世界の見本市・展示会情報(J-messe)』
③移動手段と宿泊先を手配する
会場までアクセスするための移動手段と宿泊先は、早めに手配しておきます。日本の長期休暇シーズンでは国によって航空券が取りにくくなるほか、展示会の開催時期は会場付近にある宿泊施設の予約が困難になる可能性があります。
▼移動手段と宿泊先を手配する際に確認すること
- 入国に必要な書類
- 海外の空港から会場までの公共交通機関またはシャトルバスの有無
- 会場からホテル・民宿までの距離とアクセス手段
- ホテル・民宿付近の利便性 など
海外の展示会では、開催日の数日前から準備や打ち合わせを行うため、連泊になることが一般的です。食事や生活用品などを調達できる施設が周辺にあるか確認しておくことが必要です。
④出展品の輸送手段を選定する
出展品の特性や所要期間などを考慮して輸送手段を選定します。
▼主な輸送手段
- 海上輸送
- 航空輸送
- 国際宅配便 など
出展品の輸送や通関での手続きについては、輸送会社にまとめて依頼することが一般的です。展示会によっては輸送会社が指定されていることもあります。
また、通関に必要な証明書や輸送時の荷姿、会場への搬出入方法についても事前に確認しておくことが重要です。
⑤ブースの施工会社を選定・依頼する
展示会場に設営するブースを選択して、施工会社に依頼します。ブースの申し込み方法には、主に2つの選択肢があります。
▼ブースの申し込み方法
申し込み方法 |
概要 |
標準ブース |
壁面・床材・看板・テーブルセットなどの必要最低限の設備がパッケージ化されたブース |
スペースのみ |
スペースのみを申し込み、自社独自のデザインで設計・施工するブース |
標準ブースの場合は、必要に応じて装飾や備品の追加などを行うことにより、ブースの設営費を抑えられます。スペースのみを申し込む場合は、独自性がありデザイン性の高いブースを施工することが可能です。
また、展示会の施工時には主催者から出展マニュアルが発行されます。施工会社にすべてを依頼する場合でも、念のためマニュアルの会場規程を基に加工装飾の規制や電源の位置などを確認しておくことが望ましいといえます。
⑥現地向けの配布物を準備する
海外の参加者に向けて、自社ブースへの集客や商材のPRを行うための配布物を準備します。特に海外の展示会では、企業よりも商品または技術について興味を持たれやすいため、商品カタログのデザインや翻訳精度の質を高めることが重要です。
▼準備する配布物の例
- 企業パンフレット
- 商品カタログ
- 名刺
- 自社ブースに関するフライヤー など
海外の参加者に対して内容が伝わるように、現地の主要言語で記載することが必要です。また、受賞歴や取得済みの認証規格がある場合には、商品カタログや企業パンフレットに記載しておきます。
⑦会場での設営とリハーサルを行う
開催日が近づき現地に到着したあとは、会場での設営とリハーサルを実施します。
ブースの施工に必要な資材や設備、展示する出展品などは、出展マニュアルで定められた日程で搬入します。サイズが大きい設備や重量のある機械を設置する際は搬入に時間がかかりやすいため、搬入出作業のタイムスケジュールを調整することが必要です。
また、開催日の前日までに、当日の動きを想定して運営のリハーサルを行います。当日にトラブルが発生しないように、設備の稼働状況や備品の有無、運営体制などを確認しておきます。
▼リハーサルで確認すること
- インターネットの通信や機材の動作に問題がないか
- 配布物や備品が揃っているか
- 通路やブース内から出展品・パネルなどが見やすいか
- スタッフをどの位置に配置するか など
海外の展示会に出展する際のポイント
海外の展示会に出展する際は、参加者との円滑かつ継続的なコミュニケーションを取れる体制を整備するとともに、綿密な予算計画を立てることがポイントです。
➀現地の通訳やアシスタントスタッフを確保する
言語の壁によるコミュニケーションの問題がある場合には、現地の通訳またはアシスタントスタッフを確保します。
自社商材をアピールして商談へつなげるには、現地の言語で円滑なコミュニケーションを取ることが欠かせません。自社で外国語対応が可能なスタッフの確保が難しい場合には、現地で人材を派遣してくれる会社に依頼しておくことが必要です。
▼通訳やアシスタントスタッフを手配する際のポイント
- 契約内容を確認する(通訳のみ、アシスタント業務込み など)
- 対応業務の内容・フローをまとめたマニュアルを共有しておく
- 企業パンフレットや商品カタログを提供して事前に勉強してもらう
②商談に持ち込むことを意識する
海外の展示会では、その場で商談が行われることも少なくありません。名刺交換によるリードの獲得が主な目的とされやすい日本の展示会とは考え方が異なる場合があるため、理解を深めておく必要があります。
▼海外企業との商談につなげるポイント
- 導入効果・プラン・事例などの検討材料となる詳細な情報を分かりやすくまとめた資料を提示する
- 迅速に商談を進められるように社内担当者と展示ブースのスペースを確保しておく
③帰国後のフォローアップを行う
展示会の帰国後は、現地で商談を行った海外企業に対してフォローアップを行うことがポイントです。フォローアップには、自社のことを思い出してもらったり、有望な見込み顧客と良好な関係性を維持したりする目的があります。
▼フォローアップを実施するポイント
- できるだけ早くお礼メールを送信する
- 商材に関する追加の資料・データを送付する
- アンケートの内容に対して回答メールを送付する
交換した名刺やアンケート調査の結果を整理して、営業顧客データベースを作成することで漏れなくフォローアップを行えます。
④国内開催と異なる追加コストを踏まえて予算を組む
海外での展示会は、国内開催とは異なるコストが発生します。追加で発生するコストを洗い出して予算を組む必要があります。
▼国内開催とは異なる追加コストの例
- 出展品や備品の国際輸送費
- 出展品の梱包費
- 出張旅費(航空券代、宿泊費、食費、現地での交通費 など)
- 通訳・アシスタントの雇用費
- 各種保険料 など
なお、海外の展示会に出展する際に補助金・助成金を利用することも一つの方法です。活用できる制度はないか事前に確認しておくことが重要です。
海外の展示会に出展する際の注意点
海外の展示会では、日本とは異なる商慣習や文化・ルールなどが存在するほか、権利とセキュリティに関する備えも必要となります。
現地での知的財産権を保護する
海外の展示会で自社の商品・サービスを展示する際は、あらかじめ現地における知的財産権の出願を行って保護しておくことが欠かせません。
多国間条約で保護されている著作権以外の知的財産権は、国ごとに独立して存在しています。日本で知的財産権を出願していても海外では権利が保護されないため、注意が必要です。
知的財産権の保護を行わないまま海外の展示会に出展すると、模倣品の制作やアイデアの流出によって海外進出の妨げとなる可能性があります。
出典:国土交通省『中堅・中小建設企業における知的財産を活用した海外展開のためのハンドブック』
セキュリティ体制を整備する
海外の展示会に出展する際は、盗難を防ぐためのセキュリティ体制を整備することが重要です。
▼海外の展示会における盗難対策の例
- 展示会場に貴重品やパスポートを持ち込まない
- 夜間はブースに布をかけて覆い隠す
- 展示物の輸送時に木箱を使用する
- 専門会社に警備を依頼する など
万が一、展示会場で盗難の被害を受けた場合には、主催者や現地の警察、保険会社などに連絡を行う必要があります。
展示会に関する独自の文化・ルールを確認する
一般的な商慣習や法律だけでなく、展示会の文化・ルールについても事前に確認しておくことが必要です。日本と海外では、展示会について次のような違いがあるケースが見られます。
▼【例】日本と海外における展示会に関する文化・ルールの違い
- 施工期間が短い
- 公式の輸送事業者が決まっている
- 現地で事務局に何かを要望する場合は、その場でクレジットカードによる決済が必要 など
自社で独自の文化・ルールに対応することが難しい場合には、海外での実績やノウハウが豊富な国内の専門会社にサポートを依頼することも一つの方法です。
まとめ
この記事では、海外の展示会への出展について以下の内容を解説しました。
- 海外の展示会に出展する主な目的
- 海外の展示会に出展する流れ
- 海外の展示会に出展する際のポイント、注意点
海外の展示会に出展すると、自社の商品・サービスに対する現地の反応を直接確認できるほか、海外企業との新たなコネクションを創出したり、競合他社の情報を収集したりすることが可能です。
ただし、国内開催とは異なる準備や手続きが発生するため、出展までの期間とコストを踏まえて出展計画を立てることが必要です。
また、日本と海外では法律や商慣習、展示会の文化・ルールが異なります。事前に情報収集を行うとともに、知的財産権の保護やセキュリティ体制の整備など、自社の商品・サービスを守るための対策も欠かせません。
『ビークス』では、国内の展示会で長年培った経験を生かして、海外での展示会出展をサポートしております。展示会の企画からブースの設計・設営、当日の運営に至るまで対応しているため、初めて海外の展示会に出展する方も安心してお任せいただけます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。