
展示会のシステムブースとは。メリット・デメリットや自社に合った施工方法の選び方
※2025年6月5日更新
展示会のブースは、参加者の目を惹きつけて集客を促すための重要な要素の一つです。なかでもブースの施工方法によって、表現できるデザインや雰囲気などが左右されます。
展示会で取り入れられている代表的な施工方法に“システムブース”があります。木工ブースとは異なる特徴があるため、目的や予算に合わせて選ぶことが重要です。
これから展示会の出展準備を始める企業担当者のなかには「システムブースでどのような施工ができるのか」「木工ブースとどちらを選択するとよいか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、展示会で用いられるシステムブースの概要やメリット・デメリット、自社に合った施工方法を選ぶポイント、システムブースの施工アイデアなどについて解説します。
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展示会のシステムブースとは
システムブースとは、規定の形状・サイズがあるシステム部材を組み合わせて設営するブースです。どのようなシステム部材を使用するかによって、実現できるブースの形状やデザインの表現などが変わります。
▼展示会のブース設営に用いられる主なシステム部材
システム部材 |
概要 |
オクタノルム |
梁(ビーム)と柱(ポール)を接続した対角線の構造によって立体的な3次元空間を造れる |
マキシマライト |
システムパネルのサイズに応じて、多様な形状の梁・柱を組み合わせて空間を造れる |
オメガトラス |
アルミの部材を三角形につなぎ合わせたトラス構造によって直線型やR型(アーチ状)の表現ができる |
シーマオービット |
梁(ビーム)とグローブを接続した対角線の構造によって立体的な3次元空間を造れる |
イソゴン |
垂直2方向・水平4方向に組み合わせた構造によって多様なパネル装飾を行える |
ストラクチャー |
直線と斜線を組み合わせた構造をオクタノルムで造った空間に組み込んでアーチやタワーを表現できる |
メロードーム |
三角形の部材をつなぎ合わせてドーム状の空間を造れる |
システムブースでは、上記のシステム部材を組み合わせて造った骨組みをベースにパネルやファブリック、照明器具などを組み込んでデザインを表現します。
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木工ブースとの違い
展示会ブースの施工方法には、システムブースのほかにも“木工ブース”があります。木工ブースは、木材を使用して骨組み・壁面・床面などを一つひとつオーダーメイドで造り上げる施工方法です。
システムブースと木工ブースでは、施工にかかるコストや準備期間、デザインの自由度、再利用性などに違いがあります。
▼システムブースと木工ブースの比較
比較項目 |
システムブース |
木工ブース |
コスト |
低くなりやすい |
高くなりやすい |
準備期間 |
短い |
長くなりやすい |
デザインの 自由度 |
システム部材の種類によって一定の制限がある |
自由な造作ができる |
再利用性 |
再利用できる |
廃材が発生しやすい |
木工ブースは、職人が一から土台や骨組みなどを造作するため、既製のシステム部材を使用するシステムブースと比較してコストがかかりやすく、準備期間も長くなることが一般的です。
一方で、各種部材やサイズ、形状などを自由に設計・施工できることから、システムブースよりも独自性かつインパクトのあるブースづくりが可能です。ただし、撤去時には廃材が発生するため、資材の再利用性は低くなります。
木工ブースのメリット・デメリットは、こちらの記事で解説しています。
システムブースのメリット
システムブースには、木工ブースと比較して設営にかかる時間やコストを削減しやすいメリットがあります。
▼メリット
- コストを抑えやすい
- 設営・解体がしやすい
- 廃材が少ない など
システムブースでは、既存のシステム部材をレンタルまたは再利用してデザイン・設営を行うため、一から木材を加工して造作する木工ブースと比較してコストを抑えやすくなります。
また、木工ブースの場合には、事前に木材の調達と加工を行ったあとに会場で施工する必要があり、準備に時間を要しやすくなります。これに対してシステムブースは、形状とサイズが決まったシステム部材を組み合わせて造ることから、運搬・設営・解体がしやすくなり、準備期間を短縮できます。
さらに、木工ブースでは解体の際に廃材が発生しますが、システム部材は再利用することが可能です。展示会後の撤去にかかる時間を短縮できるほか、環境にもやさしいといえます。
システムブースのデメリット
木工ブースと比べて設営の時間やコストを抑えやすいシステムブースですが、実現できるデザインには一定の制限が生じます。
▼デメリット
- 独自性のある形状でのブースづくりが難しい
- 装飾の範囲が限られる
- 無機質な印象になる可能性がある など
システムブースでは、使用するシステム部材の形状・サイズを選んでブースを組み立てます。そのため、一から木材を加工して造作する木工ブースと比べて、デザインの自由度は低くなりやすいといえます。
また、システム部材には自由にビス・釘を打てないことから、木材で造作した壁面に看板や装飾品を取り付けたり、ブースのデザインに合わせて床材を貼ったりして装飾を行える範囲も限られます。
さらに、木工ブースの場合は木材ならではの柔らかく温かみのある雰囲気を演出できますが、システムブースは梁と柱で構成されているため、無機質な印象になることがあります。企業や商材のイメージによっては、システムブースで表現できるデザインが合わない可能性も考えられます。
システムブースの施工にかかる費用
システムブースの施工費用は、1小間(3m×3m)当たり30~80万円ほどが相場とされています。ブースの規模や使用するシステム部材、装飾の内容などによって費用は変動するため、目安として予算を検討することが大切です。
また、システムブースの施工においては、電気工事や照明器具の取り付け、設営・撤去の作業費などの追加費用が発生することも想定しておく必要があります。
自社に合った展示会ブースの施工方法を選ぶには
システムブースは、木工ブースと比べて設営にかかるコストや準備の面でメリットがあります。実現したいブースのイメージや確保できる準備期間、予算などを踏まえて自社に合った施工方法を選ぶことがポイントです。
▼システムブースが適している企業
- 展示会の準備期間が短い
- できるだけコストを抑えたい
- シンプルなブースデザインにしたい
- 複数の展示会で同じ商材をPRするため、資材を再利用したい など
▼木工ブースが適している企業
- 独自性のある空間デザインで競合他社との差別化を図りたい
- ブランドの世界観を表現してイメージを構築したい
- コストよりもクオリティやオリジナリティを重視する など
「予算を調整しながら自社のこだわりを反映したい」といった場合には、システムブースと木工ブースを組み合わせて施工することも一つの方法です。
システムブースで施工する際のアイデア
木工ブースと比べてデザインの自由度が低くなりやすいシステムブースですが、アイデア次第でより魅力的なブースに仕上げることが可能です。
➀コーポレートカラーやブランドカラーを取り入れる
システムブースを構成する各種パネルにコーポレートカラーやブランドカラーを取り入れるアイデアがあります。
色のアクセントを加えることで、白一色で構築したブースのように単調な印象になってしまうのを回避できます。また、企業やブランドを象徴するカラーを取り入れることで、イメージを形成しやすくなります。
②一部に造作を取り入れる
ブースの骨組みにシステム部材を利用して、一部を造作で対応することも可能です。造作を一部取り入れることで、すべてを木工ブースで施工するよりもコストを抑えつつ、企業のオリジナリティを表現できるようになります。
▼システムブースへの造作の取り入れ方
- 円形や流線形などのデザイン性のある展示台を造作する
- ブランドの立体ロゴを造作して壁面や入り口に設置する など
③無機質な材質を生かす
システムブースならではの無機質な材質を生かして空間をデザインするアイデアがあります。梁(ビーム)と柱(ポール)に使用するシステム部材はアルミ製となり、シルバー色で統一されます。
木工ブースにはない無骨さや洗練されたイメージを演出できるため、商材のジャンル、ブランドのコンセプトによってはシステム部材が映えるブースデザインへと仕上げられます。
▼システム部材の材質が与える印象
- 革新的、先進的
- 現代的
- シャープ
- スタイリッシュ など
ビークスが手掛けたシステムブースの施工事例
ここからは、システム部材を使用した展示会ブースの施工事例を紹介します。
▼上部の看板部分にトラスを使用した事例
トラスは、アルミ製の素材を三角形につないだシステム部材です。軽量かつ強度のある構造により、ブースの高さを出して照明や看板などを取り付けられます。
▼ブース全体をオクタノルムで施工した事例
立体的な3次元空間を造れるオクタノルムと展示会場の暗さを最大限に生かして、ホワイト・ブルー・グリーンの光のラインが際立つように演出したブースです。
無機質なシステム部材の材質を生かして、IT分野の商材にマッチする近未来的かつスタイリッシュなデザインに仕上げました。
まとめ
この記事では、展示会のシステムブースについて以下の内容を解説しました。
- システムブースの概要とシステム部材の種類
- 木工ブースとの違い
- 木工ブースと比較したシステムブースのメリット・デメリット
- システムブースの施工にかかる費用
- 自社に合った施工方法を選ぶポイント
- システムブースで施工する際のアイデア
- ビークスが手掛けたシステムブースの施工事例
既存のシステム部材を組み合わせて造るシステムブースは、施工にかかるコストや設営の準備期間を抑えやすいメリットがあります。ただし、一から木材を加工・造作する木工ブースと比較して、表現できるデザインには一定の制限が生じます。
「展示会のブースでどのような印象を持ってもらいたいか」「準備期間や予算はどれくらい確保できるか」などを踏まえて、自社に合った施工方法を選ぶことが重要です。
『ビークス』では、展示会の企画からブースの設計、会場での設営、当日の運営に至るまでをトータルプロデュースしております。20年にわたって展示会をサポートしてきた実績とノウハウを基に、貴社の魅力が伝わるブースをご提案いたします。
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